縮毛矯正とブリーチについて

ブリーチ毛に縮毛矯正を施すリスクと対策:美容・ケミカルの視点からの解説
ブリーチで明るく染めた髪は、ファッション性が高くおしゃれを楽しむための大切な手段ですが、その分、髪へのダメージが大きくなります。一方で、縮毛矯正はクセ毛やうねりを改善し、サラサラでまっすぐな髪を手に入れるための施術です。しかし、ブリーチと縮毛矯正を同じ髪に施すことは、髪に深刻なダメージを与えるリスクがあり、美容のプロとして慎重な判断が求められます。
本記事では、ブリーチ毛に縮毛矯正をした場合のリスクや具体的な影響、そして髪を守るためのケア方法や施術のポイントを詳しく解説します。
1. ブリーチと縮毛矯正:それぞれの施術によるダメージのメカニズム
まず、ブリーチと縮毛矯正がそれぞれ髪にどのような負担を与えるのかを理解することが大切です。これらの施術はどちらも強力な化学反応を伴うため、単体でも髪に大きな負担をかけます。ブリーチ毛に縮毛矯正を施すと、そのダメージが二重となり、深刻な影響を及ぼす可能性が高まります。
1-1. ブリーチのダメージの仕組み
ブリーチは、髪の内部にあるメラニン色素を分解・脱色するために使用されます。過酸化水素(H₂O₂)とアンモニアなどのアルカリ剤が髪のキューティクルを開き、内部に侵入して脱色します。その過程で、髪のタンパク質や脂質が失われ、髪がもろくなります。
- キューティクルの損傷:髪の表面が荒れてツヤが失われる。
- 内部タンパク質の流出:髪が柔軟性を失い、ゴワつく。
- 水分保持力の低下:乾燥しやすく、パサつきが生じる。
1-2. 縮毛矯正のダメージの仕組み
縮毛矯正は、クセ毛の内部構造を変化させてまっすぐな状態に固定する施術です。アルカリ性の薬剤を使って髪の内部の結合(シスチン結合)を一度切断し、アイロンでストレートに整えた後、再結合させて形状を固定します。
- キューティクルの開放:内部に薬剤が浸透するため、キューティクルが開きます。
- 内部構造の変化:繰り返しの施術で髪の弾力性が失われます。
- 熱によるタンパク質の変性:アイロンの高温で髪が硬くなることも。
2. ブリーチ毛に縮毛矯正をすることで起こるリスク
ブリーチと縮毛矯正は両方とも髪の内部に強く働きかける施術であるため、重ねて行うことでダメージが相乗効果的に悪化します。ここでは、具体的なリスクとその影響を解説します。
2-1. 髪がゴムのように伸びて切れる
ブリーチ後の髪は内部のタンパク質が流出し、脆くなっています。この状態で縮毛矯正を施すと、髪の結合がさらに弱まり、濡れた状態で髪がゴムのように伸び、そのまま切れてしまうことがあります。これは、「ビビり毛」と呼ばれ、美容室でのトラブルの一因です。
2-2. 髪がチリチリ・パサパサになる
ブリーチ毛に縮毛矯正を行うと、髪が乾燥してチリチリした状態になり、滑らかな手触りが失われます。また、キューティクルが完全に剥がれ落ちると、髪がバサバサになり、まとまりにくくなることもあります。
2-3. 色落ちが早くなる
縮毛矯正後は髪の内部構造が変化するため、カラーリングの持ちが悪くなり、色落ちが早まる傾向にあります。特に、パステルカラーやアッシュ系の繊細な色味は、縮毛矯正を行うとすぐに褪色しやすくなります。
2-4. 頭皮への負担が増加する
ブリーチや縮毛矯正に使われる薬剤はどちらも強いアルカリ性です。これが頭皮に付着すると、かゆみや炎症、頭皮の乾燥を引き起こすことがあります。また、敏感な頭皮では、脱毛や抜け毛のリスクも高まります。
2-5. 施術後のトラブル対応が困難になる
一度ダメージを受けた髪は、トリートメントを行っても完全に修復することは難しく、ダメージが蓄積してしまいます。さらに、ビビり毛やゴム状になった髪は、美容師でも補修が困難なケースが多く、再施術ができない場合もあります。
3. ブリーチ毛に縮毛矯正をする際の対策とケア方法
3-1. 施術の間隔を空ける
ブリーチと縮毛矯正を両方行う場合は、施術の間隔を2〜3ヶ月空けるのが理想です。これにより、髪がある程度回復し、ダメージの蓄積を防げます。
3-2. トリートメントで内部補修を行う
施術前後には、ケラチンやアミノ酸を含むトリートメントで髪の内部を補修することが重要です。縮毛矯正後も、週1〜2回の集中トリートメントでダメージをケアしましょう。
3-3. 弱酸性の薬剤を使用する
ブリーチ毛には、できるだけ低刺激な薬剤を使うことが推奨されます。美容室では、弱酸性縮毛矯正の薬剤を選ぶことで、髪への負担を減らすことが可能です。
3-4. アイロンの温度を調整する
縮毛矯正で使うアイロンの温度を150〜170度程度に抑えることで、熱ダメージを軽減できます。高温でのアイロンは、ブリーチ毛をさらに脆くするため、温度管理が非常に重要です。
3-5. 定期的なサロンケアを行う
ブリーチ毛と縮毛矯正の組み合わせは、プロのケアが欠かせません。美容師による定期的なトリートメントやメンテナンスを受けることで、髪の健康を長期間維持することができます。
4. まとめ
ブリーチ毛に縮毛矯正を施すことは、高度な技術と慎重な判断が必要な施術です。両方の施術を行うことで、髪が切れたり、パサついたりするリスクが高まるため、適切なケアとプロのアドバイスを受けることが重要です。
以下のポイントを押さえることで、ダメージを最小限に抑え、美しい髪を保つことができます:
- 施術の間隔を空けること
- 弱酸性の薬剤を使用すること
- **トリートメントでの
ケアを怠らないこと**
ブリーチと縮毛矯正を両方楽しむためには、髪の健康を第一に考え、慎重な施術計画と日常のケアをしっかりと行いましょう。