水道水とpHの関係性について

水のpHが髪に与える影響とその効果・効能:美容・ケミカルの視点から解説
私たちが普段使う水道水のpH(ペーハー)は、髪の健康に大きな影響を与えます。水自体は一見、髪にとって無害に思えるかもしれませんが、その酸性・アルカリ性のバランスによって、髪と頭皮の状態が大きく変わることがあります。本記事では、美容とケミカルの視点から、水のpHが髪の毛に与える影響や効果、さらにはケアのポイントについて詳しく解説します。
1. pHとは?髪と水の関係を理解しよう
pHは、水溶液の酸性・アルカリ性の度合いを示す尺度です。pHスケールは0から14までの範囲があり、pH7が中性、それより低いと酸性、高いとアルカリ性となります。
- pH 0~6.9:酸性
- pH 7:中性(純水)
- pH 7.1~14:アルカリ性
髪と頭皮は、通常pH4.5~5.5の弱酸性を保つことで、外部からの刺激や菌の繁殖から守られています。このため、使用する水のpHがこの範囲から外れると、髪や頭皮にダメージを与える可能性があります。
2. 水のpHが髪に与える影響
2-1. 酸性の水が髪に与える影響と効果
pHが低く、酸性に近い水は、髪のキューティクルを引き締める働きを持っています。キューティクルは、髪の表面を覆う鱗状の層で、これが整っていると髪は滑らかでツヤがあり、摩擦に強い状態を保てます。
- 酸性水の効果
- キューティクルが閉じ、指通りが良くなる。
- 髪のツヤを高める。
- 摩擦によるダメージを軽減し、髪の絡まりを防ぐ。
- 髪の水分が保持され、パサつきの予防に効果的。
美容サロンなどでは、酸性のリンスやトリートメントが施術後に使われることがありますが、これはpHバランスを整えてキューティクルを閉じ、髪の手触りを良くするためです。
2-2. アルカリ性の水が髪に与える影響とデメリット
一方、pHが7を超えるアルカリ性の水は、キューティクルを開き、髪を柔らかくする効果があります。しかし、アルカリ性の状態が長時間続くと、髪や頭皮にさまざまな悪影響を与える可能性があります。
- アルカリ性水のデメリット
- キューティクルが開きっぱなしになり、内部の水分や栄養が流出しやすくなる。
- 髪が乾燥してパサつきやすくなる。
- 外部からの刺激に対して髪が脆弱になり、枝毛や切れ毛が増える。
- 頭皮の皮脂バランスが崩れ、フケやかゆみが発生するリスクが高まる。
また、カラーやパーマなどの施術においては、アルカリ性の薬剤が使われることが多いですが、これは一時的にキューティクルを開かせて内部に染料やパーマ液を浸透させるためです。しかし、その後しっかりとpHを整えないと、髪がダメージを受けたままになり、手触りや見た目が悪化する原因になります。
2-3. 水道水のpHと髪への影響
一般的な水道水のpHは7前後の中性ですが、地域によって若干の違いがあります。一部の地域では、pHが7よりも高い「弱アルカリ性」に設定されていることがあり、これが髪の乾燥やパサつきの原因になることもあります。
- 硬水と軟水の違い
水に含まれるミネラル成分の量によっても、髪に与える影響は異なります。 - 硬水(ミネラル含有量が多い水):髪がゴワつきやすくなる。
- 軟水(ミネラル含有量が少ない水):髪が柔らかく、しっとりとする。
3. 水のpHバランスを整えたヘアケアの重要性
水のpHバランスが髪の健康に与える影響を理解した上で、次はどのようにして適切なヘアケアを行うべきかを考えましょう。
3-1. 酸性リンスやトリートメントの活用
ブリーチやカラーリングの施術後は、髪がアルカリ性に傾いているため、酸性のリンスやトリートメントを使ってpHバランスを整えましょう。これにより、キューティクルが引き締まり、髪が滑らかになります。
- おすすめの成分
- クエン酸
- リンゴ酢
- アミノ酸系トリートメント
3-2. 頭皮のpHを整えるスカルプケア
健康な髪を育てるためには、頭皮のpHバランスを保つことも重要です。アルカリ性に傾いた頭皮は、皮脂の分泌が過剰になり、フケやかゆみの原因になります。頭皮用のシャンプーやエッセンスで、弱酸性の状態を保つことが効果的です。
- スカルプケア製品の選び方
- pHバランスを整えるシャンプーを使用する。
- 頭皮専用のトニックやエッセンスで保湿をする。
3-3. シャワーフィルターの導入
水道水のpHやミネラル含有量が気になる場合、シャワーフィルターを導入するのも有効です。これにより、水道水中のミネラルや不純物を除去し、髪と頭皮への負担を減らすことができます。
- シャワーフィルターの効果
- 水を軟水化し、髪のゴワつきを防ぐ。
- 不純物を取り除き、頭皮の健康を保つ。
4. 水のpHバランスを意識した日常のケア方法
日常生活の中で、水のpHバランスを意識することで、髪と頭皮の健康を守ることができます。以下のポイントを参考にして、効果的なケアを取り入れましょう。
4-1. シャンプー後は冷水で仕上げる
シャンプー後に冷たい水で最後にすすぐことで、キューティクルが引き締まり、ツヤのある髪に仕上がります。
4-2. 酸性ヘアケアを週に1回取り入れる
週に1回程度、クエン酸リンスやリンゴ酢トリートメントを取り入れることで、髪のpHバランスを整えることができます。
4-3. 髪を洗いすぎない
洗髪の頻度が多すぎると、頭皮のpHバランスが乱れ、乾燥やフケの原因になります。1日1回までのシャンプーを目安にし、
洗いすぎないように注意しましょう。
5. まとめ
水のpHは、髪と頭皮の健康に直接的な影響を与えます。酸性の水はキューティクルを引き締め、髪にツヤと滑らかさをもたらしますが、アルカリ性の水は乾燥やダメージの原因となることがあります。さらに、地域によっては水道水のpHや硬度が異なるため、自分の住んでいる場所に合ったヘアケアが必要です。
pHバランスを意識したヘアケアを取り入れることで、髪のダメージを防ぎ、健康で美しい髪を維持することが可能です。適切な製品の使用やシャワーフィルターの活用など、日常のケアに工夫を取り入れ、長く美しい髪を楽しみましょう。